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2021-04

文藝春秋digital新・現代官僚論「山田真貴子前内閣広報官」

 本日の文藝春秋digitalに東北新社と総務省の接待問題についてアップしました。

与野党とも意図して正鵠を外しているのだろうか――。そうも疑いたくなるほど、議論の焦点が定まっていない。衆参予算委員会における野党追及の矛先が、菅義偉の長男からNTT首脳による総務官僚接待へと広がり、野党は「企業接待で行政が歪められた」と声を張り上げる。だが、接待はどこまで行っても問題の入り口に過ぎない。その背景に複雑に絡み合う人間模様を解明しなければ、不正の核心に迫れないのは自明だ。そんな政官業の利害関係者の中心はあくまで菅首相であり、総務官僚と企業がどのように動いてきたか、そこが焦点というほかない。
総務省は大臣、副大臣を経験してきた菅首相の天領と称される。が、では首相の意を忠実に実行してきたのは誰か。たしかに今度の接待問題によってその一端が明るみに出ている。さしずめ長男の勤める東北新社から接待を受けてきた時期事務次官の呼び声が高かった事務方ナンバー2の谷脇康彦総務審議官をはじめ、吉田真人総務審議官、秋本芳徳情報流通行政局長、同局の湯本博信官房審議官(2月時点)の4人組がそれにあたるのだろう。彼らはNTTからの接待も受け、それが懲戒処分対象ともなっている。が、長男というポイントを外すと問題の本質からずれる恐れがある。
そして、ことの核心に近づく鍵はもう一人、内閣広報官の山田真貴子が握っている。霞が関における菅印の女性官僚の筆頭格として知られる彼女は、総務省時代に東北新社など放送会社を所管する情報流通行政局長を務め、総務審議官に昇進したあとの2019年11月に7万4000円の高級ステーキ会食を堪能していた。この情報流通行政局ラインこそが放送行政を握り、東北新社に対応してきたといえ、“接待4人組”の秋本の後任として、目下国会で立ち回っている吉田博史情報流通行政局長は彼女の夫でもある。(以下略)

泥のカネ「平島談合事件」

 泥のカネの13回目と14回目がアップされました。

 バブル経済の崩壊した90年代に入り、東京地検特捜部は建設業界における政官業の癒着構造の解消に乗り出す。折しも金丸信失脚後の90年代前半の出来事だ。わけても93年から94年にかけ、宮城、茨城、新潟各県の自治体トップを立て続けに検挙し、建設大臣だった自民党の中村喜四郎を縄にかけた。それはまさしく国策としての捜査だった。

 東京地検を先頭に捜査当局が摘発に乗り出し、ゼネコン汚職事件日本全国に吹き荒れた。大手ゼネコンはどこも「もはや談合はしない」と宣言する以外になかった。平島(編集部注:大林組の常務で業界に君臨してきた談合の総元締めとして知られる)のいる大林組でも、談合自粛ムードが強まっていく。そうなると都合のいいもので、会社にとって談合担当者は邪魔な存在になる。

「とりわけ平島さんは、業界で目立ち過ぎていました。関西の建設業界のなかで、衆院選に立候補しようとした息子の選挙に貢献した業者を贔屓しすぎているのではないか、と悪評が立ったものです。さしもの平島さんも、その空気を感じ取ったのかもしれません。長男に衆院選出馬を辞退させた。そういう雰囲気でしたから、平島さんが大林組を辞めると言い出しても、社内に異論はなかった。むしろ追いだしたような格好でしたね」

混乱に乗じた西松建設
 大林組の元重役はそう告白する。一方、この混乱はむしろ西松建設にとってもっけの幸いだったといえる。失脚したとはいえ、長いあいだ業界に睨みを利かせてきた竹下派の金丸をはじめ、平島には安倍派の清和会なども政界の知己が多い。準大手の西松建設にとって業界の混乱は、新たな中央政界のパイプづくりに絶好の機会ととらえた。

 西松建設は三顧の礼をもって平島を迎えた。そして狙いどおり、飛躍的に業績を伸ばした。 西松建設へ移籍するにあたり、平島はみずから築いてきた「栄会」から離れた。代わって、新たに談合組織を組織する。(以下略)

東北新社問題の本質は長男の存在

 本日発売の週刊現代「ジャーナリストの目」に総務省の接待問題について書きました。

 総務省は8日、新たに飛び出したNTTによる接待で、総務審議官の谷脇康彦を更迭した。菅首相の長男接待をいい加減な調査と軽い処分で乗り切ろうとしたところ、そうは問屋が卸さなかった。この先、調査の責任者である総務大臣武田良太の責任追及、NTT首脳の国会招致も実現しそうだ。
ますますピンチの菅首相――。かと思ったら、さにあらず。内閣支持率は逆に持ち直している。それは非難の矛先が接待漬けの高級官僚たちに向けられているからであろう。役人が風よけになり、問題の根本が忘れられているように感じる。
問題の核心は菅首相である。ファミリーが首相に成り代わって権勢を振るい、取り巻きまでがオコボレに与っている。営利を求める業者が、その構図を巧みに利用してうま味を得ようとしてきたわけだ。(以下略)

 記事では締め切りの関係で東北新社の中島信也社長の国会招致に触れていませんが、招致すべきは東北新社の二宮前社長と長男の菅正剛氏。NTTの接待問題をガス抜きに使われてはたまったもんじゃありません。

疑惑の文化功労者に文化庁長官の影

 本日発売の週刊ポストにぐるなびの滝久雄会長の文化功労者選出について第二弾を書きました。
芸術と学術の著しい実績を称えて選ばれる文化功労者は、数年後には文化勲章にエントリーされる。どちらも11月初旬の文化の日には、天皇が宮中で催す茶会に招かれる。わけても文化勲章に輝いた者は天皇、皇后と同じ円卓に着き、フランス料理のコースに舌鼓を打ちながら歓談する。元文部科学事務次官の前川喜平は、2016年11月3日の茶会に参加した経験があるという。
「あのときはたまたま馳浩文部科学大臣がお茶に会に出席できす、次官だった私が代役として文化勲章受章者の皆さんと丸テーブルで食事をしました。天皇の隣に座らされ、私の隣が作曲家の船村徹さんでした。向こう側の美智子皇后のそばには、脚本家の平岩弓枝さん。皇后と平岩さんの女性2人はずっと楽しそうに談笑していましたけど、こちら側は困りました」
 文化の日の茶会の模様を次のように語った。
「天皇と船村さんが私を挟んで会話していたのですが、それがなかなか通じない。栃木県の出身の船村さんはしきりに那須の話をしておられました。しかし、お歳のせいでものすごく耳が遠く、天皇のお言葉を聞き取れない。だから私がお2人のあいだで日本語の通訳をしなければなりませんでした」
 この船村を文化勲章に押し込んだのが、官房長官時代の菅義偉だった、
(以下略)

メディアの呪縛が解けない双葉病院

 本日発売のサンデー毎日に双葉病院の記事を寄稿しました。

〈空き袋・布団・排泄物…生々しく残る双葉病院、混乱の跡〉
 2年前の2019年3月12日、そう題された震災記事が朝日新聞に掲載された。ウエブ版のコピーを手にしながら、双葉病院(医療法人博文会)の総務課長だった宍戸孝悦(43)は語った。
「毎年、この時期には震災関連の取材申し込みがあり、できる限り協力してきました。朝日さんも熱心でした。ただ、このときは記事を読んだ人から酷いことを言われました。『おまえらはあんな劣悪な環境で患者に接していたのか』と。10年前の事実をわかっていれば、そんな言葉は出てこないはずですが、記事をそうとらえている人がいる。報道はやはり恐ろしい、と改めて感じました」
 宍戸は現在、博文会事務長だ。実際、くだんの記事を見ると、まず目に飛び込んでくるのが、病院内の写真である。震災直後、電気水道などライフラインが絶たれたあと、双葉病院の患者たちは救助に取り残された。記事は19年に窓ガラス越しに撮影した療養棟の写真を載せ、こう書く。
〈患者が身を寄せたガラス張りの広間には、30枚以上のマットレスが敷き詰められていた。掛け布団や毛布、シーツはぐちゃぐちゃで、飲みかけのペットボトルやカステラの空き袋、むしられたトイレットペーパーが散らかり、排泄物のあともあった〉
(以下略)

 震災から10年、感慨深いものがあります。

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プロフィール

森功

Author:森功
福岡県出身のノンフィクション作家。08年「ヤメ検」09年「同和と銀行」(ともに月刊現代)の両記事で2年連続「雑誌ジャーナリズム賞作品賞」。18年「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)が大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
主な著作は「サラリーマン政商」(講談社)、「黒い看護婦」「ヤメ検」(ともに新潮文庫)、「許永中」「同和と銀行」(講談+α文庫)、「血税空港」「腐った翼」(幻冬舎)、「泥のカネ」(文藝春秋社)、「狡猾の人――防衛省を食い物にした小物高級官僚の大罪」(幻冬舎)、「なぜ院長は『逃亡犯』にされたのか――見捨てられた原発直下『双葉病院』恐怖の7日間」、「大阪府警暴力団刑事『祝井十吾』の事件簿」(講談社)、「平成経済事件の怪物たち」(文春新書)、「紛争解決人 世界の果てでテロリストと闘う」(幻冬舎)、「現代日本9の暗闇」(廣済堂出版)、「日本を壊す政商 パソナ南部靖之の政・官・芸能人脈」(文藝春秋)、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)、「日本の暗黒事件」(新潮新書)「高倉健 七つの顔を隠し続けた男」(講談社)、「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)、「地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団」(講談社)、「官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪」(文藝春秋)など。最新刊は「ならずもの井上雅博伝 ヤフーを作った男」(講談社)。2021年「鬼才 伝説の編集人齋藤十一」刊行予定

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