文藝春秋「菅義偉ファミリー研究」
典型的なサンズイだな――。国会の模様を間近にした政府の高級官僚は、思わずそう吐き捨てたという。サンズイとは政官界の汚職事件の「汚」をもじった捜査当局の隠語である。その総務官僚や放送事業会社「東北新社」の国会答弁をテレビで見たという民放の経営者は、次のような感想を漏らした。
「放送法に基づく二〇%の外資規制問題を巡るあの答弁には驚きました。外資規制といっても、一般の人にはピンとこないかもしれません。しかし、放送人にとっては外国資本に局の経営を握られる免許条件の話、一発で免許を取り消されかねません。東北新社がそこに『違反していました』と総務省側に申し出たのは大変な事態で、口頭でどうこう説明できる話ではない。だから対応した新任の総務課長が『覚えていません』と答弁したけど、ある意味、それは本当かもしれない」
仮に東北新社が外資規制に関する説明文書を提出していないとする。それは総務省が問題にしない前提で話をつけていたから敢えて、記録にも記録にも残らない形をとった可能性があるという。(以下略)