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2015-08

菅義偉研究「菅家の満州」

 サピオの菅義偉研究も4回目になりました。今回も満州編、以下冒頭です。

 上野駅に行ってくれ――。
第二次安倍晋三政権の屋台骨を支える菅義偉は、最近まで時間があると、運転手役の秘書にしばしばそう指示してきたという。取り立てて何をするわけでもない。しばらくJRの駅庁舎を眺めるだけだ。
報道メディアの定例会見や国会での答弁で、面白味のない受け答えを貫くクールな官房長官。そんなイメージの菅が、しばし感傷に浸ってきた場所が上野駅である。それは上野駅が東京生活の出発点だったからにほかならない。当人は父和三郎に反発し、家を出た。
「官房長官は、お父さんから『うちさ、残って家を継げ』と言われてたんだ。それが嫌で家を出ちゃった。夜行かなんかで、夜逃げみたいな形で東京さ行ったんでしょう。で、上京したのはいいんだけど、仕送りもなかったらしい。お父さんも距離を置いていたしね。何をやりたいわけでもなく、最初は段ボール会社の住込みまでしてた」
小、中、高校を通じ、地元秋田県でずっと一緒の学校に通った湯沢市議会議長の由利昌司が、そう五十年前の記憶をたどる。上京した菅の段ボール会社勤めはよく知られている。が、それは巷間伝えられてきた貧しい東北の農家の集団就職とは、かなり事情が異なる。
一九四七(昭和二十二)年生まれの菅義偉は、戦中、戦後の激動を自らの才覚で生きてきた父親の影響を少なからず受けている。故郷の秋田から離れたのは、豪胆な父親への対抗意識からかもしれない。その和三郎や菅家の原点は、終戦間際の中国・満州にある。
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プロフィール

森功

Author:森功
福岡県出身のノンフィクション作家。08年「ヤメ検」09年「同和と銀行」(ともに月刊現代)の両記事で2年連続「雑誌ジャーナリズム賞作品賞」。18年「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)が大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
主な著作は「サラリーマン政商」(講談社)、「黒い看護婦」「ヤメ検」(ともに新潮文庫)、「許永中」「同和と銀行」(講談+α文庫)、「血税空港」「腐った翼」(幻冬舎)、「泥のカネ」(文藝春秋社)、「狡猾の人――防衛省を食い物にした小物高級官僚の大罪」(幻冬舎)、「なぜ院長は『逃亡犯』にされたのか――見捨てられた原発直下『双葉病院』恐怖の7日間」、「大阪府警暴力団刑事『祝井十吾』の事件簿」(講談社)、「平成経済事件の怪物たち」(文春新書)、「紛争解決人 世界の果てでテロリストと闘う」(幻冬舎)、「現代日本9の暗闇」(廣済堂出版)、「日本を壊す政商 パソナ南部靖之の政・官・芸能人脈」(文藝春秋)、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)、「日本の暗黒事件」(新潮新書)「高倉健 七つの顔を隠し続けた男」(講談社)、「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)、「地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団」(講談社)、「官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪」(文藝春秋)など。最新刊は「ならずもの井上雅博伝 ヤフーを作った男」(講談社)。2021年「鬼才 伝説の編集人齋藤十一」刊行予定

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