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2021-04

吉川貴盛在宅起訴の意味

 吉川貴盛元農水大臣の収賄が在宅起訴で捜査の幕を閉じました。1800万円を受け取りながら起訴されたのは500万円、事件としては不満の残る結末です。が、検察にとってはそれなりの意味があったように感じます。
 吉川氏は二階派の事務総長として派閥を取りまとめ、西川公也元農相とともに利権漁りをしてきたわけで、むろん二階さんにとっては痛手でしょう。また農水大臣に任命したのは安倍さんで、任命責任問題が取りざたされてきました。けれど、実は菅さんのほうが吉川さんに近い。当選同期として9月の自民党総裁選の推薦人に名を連ね、選対責任者として奔走したのが吉川さん。菅・二階政権をつくった実働部隊だったわけです。
 特捜部は河井夫妻の捜査で吉川さんの収賄事件の端緒をつかんだことも判明しています。つまり検察は捜査の過程で、河井さんの選挙に用立てた自民党の1億5000万の流れを含め、現政権の情報を集めることができたはずです。さらに次の捜査を進めることを期待します。
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安倍首相を追い詰める方法

 安倍晋三前首相が21日に東京地検特捜部の事情聴取を受け、年内の国会招致が実現しそうです。野党や有識者は証人喚問を、と高らかに叫びます。それができればいいのですが、現実問題としてはなかなか難しいのではないでしょうか。とすれば、ほかにどんな方法があるでしょうか。
 国会対策として安倍サイドは、「東京地検の捜査で第一秘書が略式起訴、安倍首相自身は不起訴」という結果を盾にし、「知らなかった」から国会で虚偽答弁を繰り返した、というシナリオを立てているのでしょう。菅義偉現首相も、「安倍前首相が知らなかったのだから私も知らなかった」という同じ論法が想定されます。つまり刑事事件捜査を利用するモリカケに通じるいつものやり方。そんなバカな話は納得できないという感情はさておき、では野党はどう突っ込めばいいか。
 で、徹底的に虚偽答弁の事実と責任の取り方を追及するというのも一つの手ではないでしょうか。当時の首相と官房長官がそろって「領収書も明細書もない、パーティの補填もしていない」と国会で嘘をついた事実は揺るぎません。さらに、その虚偽答弁を繰り返した張本人にどのような責任の取り方があるのか、といえば、すでに首相を辞任しているのだから、あとは議員辞職しかありません。さらに官房長官だった菅さんは今の総理大臣という職から降りるしかない。
 国会の開催経費は1日あたり3億円。国民に、今度の桜を見る会の嘘はそのくらいの重大事だという認識をもってもらえるかどうか、そこが野党の腕の見せどころです。

カジノ議員「保釈」の代償

 東京地検特捜部は20日、カジノ(IR)汚職を巡る証人買収事件で、贈賄側の被告に虚偽証言を依頼し秋元司代議士(48)を組織犯罪処罰法違反の疑いで再逮捕しました。保釈したあとの証人買収という恥ずかしいことこの上ない事件です。秋元議員は否定していますが、買収工作を依頼された淡路明人(54)容疑者などはあっさり「秋元さんから頼まれた」と認め、秋元事務所では3000万円の買収資金のうち1000万円程度を用立てたそうです。とうぜんこれも起訴され罪が重くなるでしょう。
 なにより、買収工作が成功していたら、カジノ議員は無罪放免になる可能性もあり、そう思うとゾッとします。検察としては余計な捜査をしたことにもなります。
 裁判所はなぜこんな人をあっさり保釈してしまったのでしょうか。逃亡したゴーンにも新たな経費の使いこみが明るみになり、追徴課税されるようですが、果たして国税当局は税金を取り戻せるのでしょうか。保釈すれば逃亡や証拠隠滅の恐れがあるのは自明。ここらで少し考えてみてはいかがでしょうか。

IRカジノ事件「口止め料」2000万円の黒幕

 東京地検特捜部が摘発したカジノ汚職の公判、「秋元司代議士に賄賂を渡していないことにしてくれ」と唆そうとした〝口止め料〟が実に2000万円というから、ただ事ではありません。特捜部が新たに組織犯罪処罰法違反(証人等買収)容疑で逮捕した佐藤文彦(50)と淡路明人の両容疑者(54)。その筋では有名らしく、さまざまな情報が入ってきました。
 2人が首相の桜を見る会に参加していたことはすでに報じらていますが、もともと佐藤氏は新興デベロッパーの出身で、デート商法で不動産詐欺を働いていた前歴があり、安倍首相の側近代議士とは昵懇の仲。秋元代議士はこの側近の舎弟のような存在だけに、この先、捜査がどう展開するか、見ものです。
 2000万円も出して秋元氏を無罪にしようとした黒幕は誰で、なんのためにそんなことをしようとしたのか、まずそこが注目点でしょう。

河井秘書起訴「揺れる検察」

広島地検が24日、河井案里参議院議員の公設秘書である立道浩容疑者(54)ら2人を公職選挙法違反(買収)罪で起訴しました。予定通りの起訴で、検察として秘書の禁固刑以上による連座制で議員辞職までは捜査の最低条件、夫君の河井克行前法相の起訴までいければ胸を張れるのではないでしょうか。
 その最低条件の連座制適用は広島地検ではなく広島高検が広島高裁に行政訴訟を起こす段取りになります。その高検人事でひと悶着ありました。
 昨日の閣議で小川新二さんから中原亮一さんへの交代が決まりました。中原さんは元東京地検特捜部長で、結果的に順当人事といえそうです。が、通常3週間前に関係者にあるはずの内示がなく、検察内部から人事の行方を不安視する声が上がっていました。小川さんの63歳の誕生日が3月27日なので、ひょっとすると定年延長を閣議決定するのではないか、黒川さんの定年延長は例外ではないとアピールするために、と囁かれていました。そうはならなかったわけですが、小川さんが断ったのか、検事総長の意向か、それとも別の思惑が働いたのか、そのあたりこれから徐々にわかってくるかもしれません。
 やはり検察内部は大きく揺れている気がします。

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プロフィール

森功

Author:森功
福岡県出身のノンフィクション作家。08年「ヤメ検」09年「同和と銀行」(ともに月刊現代)の両記事で2年連続「雑誌ジャーナリズム賞作品賞」。18年「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)が大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
主な著作は「サラリーマン政商」(講談社)、「黒い看護婦」「ヤメ検」(ともに新潮文庫)、「許永中」「同和と銀行」(講談+α文庫)、「血税空港」「腐った翼」(幻冬舎)、「泥のカネ」(文藝春秋社)、「狡猾の人――防衛省を食い物にした小物高級官僚の大罪」(幻冬舎)、「なぜ院長は『逃亡犯』にされたのか――見捨てられた原発直下『双葉病院』恐怖の7日間」、「大阪府警暴力団刑事『祝井十吾』の事件簿」(講談社)、「平成経済事件の怪物たち」(文春新書)、「紛争解決人 世界の果てでテロリストと闘う」(幻冬舎)、「現代日本9の暗闇」(廣済堂出版)、「日本を壊す政商 パソナ南部靖之の政・官・芸能人脈」(文藝春秋)、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)、「日本の暗黒事件」(新潮新書)「高倉健 七つの顔を隠し続けた男」(講談社)、「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)、「地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団」(講談社)、「官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪」(文藝春秋)など。最新刊は「ならずもの井上雅博伝 ヤフーを作った男」(講談社)。2021年「鬼才 伝説の編集人齋藤十一」刊行予定

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