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2024-03

展望が開けない「ヤフー」「LINE」の統合

 ヤフーとLINEが統合すれば、ユーザーが1億人を超え、楽天を抜いて国内IT企業トップの売上げになる、とぶち上げています。ヤフーは検索サイト、LINEはSNSで国内シャアのトップを走り続けていますので、両社がいっしょになれば巨大プラットフォームのIT企業が誕生するかのように見られがちです。また、それはGAFAやBATに対抗するための統合だともいわれます。
 が、よくよく両社の内容を見ると、なかなか厳しいのではないでしょうか。ヤフーは米国の真似をしながら、日本でインターネットのパイオニアとして業界をリードしてきた強みがあり、LINEは無料通信を売りにして人気を得てきましたが、いまやその物珍しさも色あせてきた感があります。
 どちらも独自のニュースサイトや商品・技術開発をしているわけではなく、GAFAやBATと比較しても変わり映えしません。となれば、この先、ユーザーの奪い合いになったとき彼ら巨大IT企業に対抗できるでしょうか。
 アマゾンや楽天のようなEコーマースと違い、売上げの主力はユーザー頼みの広告事業。、ソフトバンクの孫正義社長にとって、赤字転落で下がった株価を戻したい、実は今回の統合はその程度でしかないかもしれません。

地方経済「二重構造」の不況

 久方ぶりに岡山の街にやってきました。懐かしというより、まず驚いたのが岡山駅前の変わりよう。地方の不況が叫ばれて久しいけど、駅前はずい分発展していて、人通りもかなり多い。人気のショッピングセンター「イオンモール」などは、下手すれば東京のデパートよりにぎわっている気がしました。
 ところが、そこからかつてにぎわっていた駅前商店街や表町に行くと、まさにシャッター通り。さらに田町や中央町といった夜のネオン街はもっとひどい。かつて一世を風靡したテナントビルのスナックやバーが軒並み休業。なかには5分の1くらいしか営業していないビルもあって、まるで幽霊ビルのような気味の悪さでした。アベノミクスの惨状をまざまざと見ぜつけられた気がしました。

ホントに民泊は必要か

 今週号の週刊現代「ジャーナリストの目」に、安倍政権で一生懸命推進している民泊を取り上げました。

 国土交通大臣の石井啓一が、「2000万人を突破した」と胸を張れば、官房長官の菅義偉は「目標は4000万人、まだまだ途中経過だ」と鼻を膨らます。言うまでもなく、10月30日に政府・与党が史上初の快挙だと自画自賛した2016年の訪日外国人の数である。
 20年の東京五輪時点で4000万人を達成できるかどうかはともかく、安倍晋三政権が観光事業に必死なのは間違いない。外国人観光客を呼び込むための切り札と位置付けているのが、民泊だ。
周知のように、現在の民泊は旅館業法下、一定の基準を満たせば、「国家戦略特区」に指定された自治体で営業できる。前のめりの安倍政権と歩調を合わせるかのように、東京都大田区と大阪府に続き、新たに民泊特区指定された自治体のうち、大阪市でも10月31日から民泊がスタートした。さらには年内に北九州市でも始まる。
テレビや新聞が民泊を囃し立てている。が、笛吹けど踊らず。たとえばいち早く民泊特区に手を挙げた大田区で、申請・認可された民泊施設は11月2日現在で26カ所、大阪府にいたっては4カ所しかない。

 そもそも民泊需要は都市部なのですが、問題が多すぎるように思えてなりません。

報道されないドイツ銀行「破綻」はリーマンどころじゃないかも

 昨日いっしょに飲んだある音楽家がドイツ銀行の動向をやたらと気にしていました。それもそのはず、日本の新聞テレビはほとんど報じませんが、あのドイツ銀行がかなり危険な状態なのだとか。英BBCによれば、「ドイツ政府が国民に水・食料の備蓄呼びかけ」と。日本では米司法省が住宅ローン保証問題でドイツ銀行に1兆4000億円の和解金を支払うよう求めているという程度の報道ですが、それどころではないようです。
 ドイツはGDP400兆円ほどしかないのに、ドイツ銀行の焦げ付きは75兆円に上りそうだといいます。損失の大半は住宅論問題などではなくデリバティブ取引の失敗だとか。いよいよ10月恐慌の引き金をひくかもしれないといいます。

内閣府が発表した失業率8%超えの衝撃

 これまで政府が胸を張ってきた3.2%の完全失業率に加え、正社員を希望していたのに、非正規雇用されてしまった広義の失業者を加えると、今年1月から3月までの失業率が8.4%にのぼるというのだから、けっこう大変な数字ではないでしょうか。しかも試算したのが内閣府。4割に近くなってきた非正規雇用の割合のうち、どのくらいを広義の失業者と見なしているか、そのあたりが曖昧ですが、政府公表の数字ですから、低めに見積もられていると考えたほうがいいでしょう。
 少なくとも失業しているという感覚でいる率が、3.2%ではなく8.4%以上であるということ。パートやアルバイトで働く人は前からいましたが、少なくとも失業者という感覚ではなかったはず。それがここまで増えているというのは、やはり派遣社員のせいではないでしょうか。けっこう深刻な話だと思います。
 

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プロフィール

森功

Author:森功
福岡県出身のノンフィクション作家。08年「ヤメ検」09年「同和と銀行」(ともに月刊現代)の両記事で2年連続「雑誌ジャーナリズム賞作品賞」。18年「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)が大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
主な著作は「サラリーマン政商」(講談社)、「黒い看護婦」「ヤメ検」(ともに新潮文庫)、「許永中」「同和と銀行」(講談+α文庫)、「血税空港」「腐った翼」(幻冬舎)、「泥のカネ」(文藝春秋社)、「狡猾の人――防衛省を食い物にした小物高級官僚の大罪」(幻冬舎)、「なぜ院長は『逃亡犯』にされたのか――見捨てられた原発直下『双葉病院』恐怖の7日間」、「大阪府警暴力団刑事『祝井十吾』の事件簿」(講談社)、「平成経済事件の怪物たち」(文春新書)、「紛争解決人 世界の果てでテロリストと闘う」(幻冬舎)、「現代日本9の暗闇」(廣済堂出版)、「日本を壊す政商 パソナ南部靖之の政・官・芸能人脈」(文藝春秋)、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)、「日本の暗黒事件」(新潮新書)「高倉健 七つの顔を隠し続けた男」(講談社)、「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)、「地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団」(講談社)、「官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪」(文藝春秋)、「ならずもの井上雅博伝 ヤフーを作った男」(講談社)、「鬼才 伝説の編集人齋藤十一」など。最新刊「バブルの王様森下安道 日本を操った地下金融」(小学館)、「国商 最後のフィクサー葛西敬之」(講談社)

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