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2021-03

メディアの呪縛が解けない双葉病院

 本日発売のサンデー毎日に双葉病院の記事を寄稿しました。

〈空き袋・布団・排泄物…生々しく残る双葉病院、混乱の跡〉
 2年前の2019年3月12日、そう題された震災記事が朝日新聞に掲載された。ウエブ版のコピーを手にしながら、双葉病院(医療法人博文会)の総務課長だった宍戸孝悦(43)は語った。
「毎年、この時期には震災関連の取材申し込みがあり、できる限り協力してきました。朝日さんも熱心でした。ただ、このときは記事を読んだ人から酷いことを言われました。『おまえらはあんな劣悪な環境で患者に接していたのか』と。10年前の事実をわかっていれば、そんな言葉は出てこないはずですが、記事をそうとらえている人がいる。報道はやはり恐ろしい、と改めて感じました」
 宍戸は現在、博文会事務長だ。実際、くだんの記事を見ると、まず目に飛び込んでくるのが、病院内の写真である。震災直後、電気水道などライフラインが絶たれたあと、双葉病院の患者たちは救助に取り残された。記事は19年に窓ガラス越しに撮影した療養棟の写真を載せ、こう書く。
〈患者が身を寄せたガラス張りの広間には、30枚以上のマットレスが敷き詰められていた。掛け布団や毛布、シーツはぐちゃぐちゃで、飲みかけのペットボトルやカステラの空き袋、むしられたトイレットペーパーが散らかり、排泄物のあともあった〉
(以下略)

 震災から10年、感慨深いものがあります。
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文藝春秋digital新・現代官僚論「寺岡首相秘書官」

 本日アップした文藝春秋digitalの連載20回目は前回に続き、寺岡政務秘書官就任の舞台裏を書きました。

2020年9月の政権発足時、首相の菅義偉は事務所の若い新田章文を政務担当筆頭秘書官にし、事務の担当も官房長官時代からの持ちあがりばかり。事務秘書官たちは参事官(課長級)で年次が若く、古巣の出身官庁の意に反してまで政策を引っ張っていく力がない。本来が初めから財務省の寺岡光博を政務秘書官に任命すればよかった。だが、そうできない事情があった。寺岡自身、この年の7月に財務省主計局総務課から内閣官房審議官に就任したばかりで、2カ月早々で異動させるのを憚った。それは遠慮というより、自ら指示を出して政策を引っ張れば秘書官たちでも務まるという驕りがあったのだろう。
すでに7月におこなわれる霞が関の定期人事の時点で、菅はポスト安倍晋三を睨んでいた。そこでまずは、自らに近い官僚たちで官邸を固めようとする。このときの人事では財務省出身の古谷一之に替え、藤井健志を官房副長官補に起用。古谷、藤井はともに財務省の税務畑を歩み、事務次官の目もあったが、国税庁長官となり、第二次安倍政権で官邸入りしたかっこうだ。
(以下略)

ぐるなび会長「文化功労者選出」の怪

 本日発売の週刊ポストでぐるなびの滝久雄会長の文化功労者選出について書きました。

〈ペア碁創案者の滝久雄 日本ペア碁協会名誉会長がこのたび、長年にわたりペア碁の普及、パブリックアートの普及、「1%フォー・アート」の提唱、食文化の振興など文化・芸術活動に多大な貢献を果たしたとして、2020年度(令和2年度)の文化功労者に選ばれました。
文化功労者の制度は1951年(昭和26年)に制定されました。日本の文化の発展に功績顕著な方々を顕彰するものです〉
昨年10月27日付の日本ペア碁協会HPには、本人が満面の笑みを浮かべてそう記している。毎年11月3日の文化の日を前に、文化勲章の受賞者と文化功労者が選ばれる。その栄誉に輝いたのだから喜ぶのはさもありなんだ。が、永田町や霞が関ではそこに首を傾げる向きも少なくない。
ぐるなび会長の滝は公益財団法人、ペア碁協会の名誉会長として普及に貢献したという。それが文化功労者選出の大きな理由の一つに違いない。その選考への疑問もさることながら、政官界で疑問視される理由は別にある。それが首相の菅義偉との距離感だ。(以下略)

 長男問題もここに行き当たります。

ときが止まった「双葉病院」

 昨日、久方ぶりに福島県の双葉病院を訪ねました。今も福島第一原発事故のせいで帰還困難区域に指定されており、放置されたままです。
202102-23双葉病院正門_convert_20210224091954
 追ってサンデー毎日でレポートします。

菅と長髪ジュニア「GoToイート」の密すぎる関係

 明日発売の週刊ポストに菅首相の長男のビジネスとぐるなびの関係を書きました。

 恐ろしいことに近頃では、支離滅裂な首相答弁にも慣れてきた感がある。だが、さすがにこの件は「息子は別人格」という言い訳だけで幕引きとはいきそうにない。
「東北新社の社長(創業者植村伴次郎)っちゅうのは、私も秋田の同じ出身ですから、まあ先輩でもう亡くなりましたけど、いろんなご縁があって応援してもらってることは事実ですけども……」(2月4日予算員会の首相答弁)
 総務大臣秘書官から東北新社に転職した長男の菅正剛は現在、同社のメディア事業部趣味・エンタメコミュニティ統括部長という職にある。映像制作会社の東北新社は、衛星放送事業を手掛け、菅が大臣を経験した総務省が放送認可を下ろしている。
よりによって、そんな利害関係企業に就職した元首相秘書官が、総務省の幹部たちを接待漬けにしていたのである。接待を受けていた4人は、省内でも指折りの高級幹部官僚たちばかりだ。週刊文春が写真付きでバッチリその模様をすっぱ抜いた。
ただし、なぜ菅の長男が総務官僚を接待を繰り返していたのか、具体的な狙いは報じられていない。そもそも総務大臣秘書官はどうして東北新社に再就職したのか、そこも不明だった(中略)

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プロフィール

森功

Author:森功
福岡県出身のノンフィクション作家。08年「ヤメ検」09年「同和と銀行」(ともに月刊現代)の両記事で2年連続「雑誌ジャーナリズム賞作品賞」。18年「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)が大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
主な著作は「サラリーマン政商」(講談社)、「黒い看護婦」「ヤメ検」(ともに新潮文庫)、「許永中」「同和と銀行」(講談+α文庫)、「血税空港」「腐った翼」(幻冬舎)、「泥のカネ」(文藝春秋社)、「狡猾の人――防衛省を食い物にした小物高級官僚の大罪」(幻冬舎)、「なぜ院長は『逃亡犯』にされたのか――見捨てられた原発直下『双葉病院』恐怖の7日間」、「大阪府警暴力団刑事『祝井十吾』の事件簿」(講談社)、「平成経済事件の怪物たち」(文春新書)、「紛争解決人 世界の果てでテロリストと闘う」(幻冬舎)、「現代日本9の暗闇」(廣済堂出版)、「日本を壊す政商 パソナ南部靖之の政・官・芸能人脈」(文藝春秋)、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)、「日本の暗黒事件」(新潮新書)「高倉健 七つの顔を隠し続けた男」(講談社)、「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)、「地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団」(講談社)、「官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪」(文藝春秋)など。最新刊は「ならずもの井上雅博伝 ヤフーを作った男」(講談社)。2021年「鬼才 伝説の編集人齋藤十一」刊行予定

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